月: 2019年7月

令和元年名古屋場所千秋楽

鶴竜優勝

ずっと前から鶴竜について思っていたことを。

突き押しの重量級力士が幕内上位に飽和してきている昨今の土俵で、鶴竜はその波に抗う最後の牙城なのではないか、ということです。

今場所西の横綱を張った白鵬も、離れた相撲は不得手ではないけれど、応時に比べれば危うい場面が多くなってきています。

しかし、今場所の鶴竜に目を向けると、立ち合いからの突き押しに対する不用意な引きやいなしはほとんど見られません。どちらかというと、離れた相撲の方が安心して見ていられたほど。 (”ジョーカー”・友風には引かれて金星を配給したけど。 )

おそらく、その秘訣はコンパクトに頭でぶつかる立ち合いと、踏み込みにあると思います。特に踏み込みの方。大きく踏み出して、杭を土俵に打ち付けるように直立させる立ち合いの一歩目の足さばきは鶴竜の専売特許だと思います。確かこれについては春場所で荒磯親方もコメントしていました。

そしてその一歩目の左右は、どうやら相手力士によって器用に使い分けているようです。差し手や前褌から四つ身を求める立ち合いであれば、右四つの鶴竜は左から踏み込むことがノーマルですが、特定の力士に対しては右から踏み込むこともあります。その中には北勝富士、玉鷲、大栄翔、千代大龍ら突き押し力士も含まれています。(御嶽海に対しては左から。)

私も力士ではないので、鶴竜の白星とその繊細な立ち合いの力学との因果関係についてこれ以上理説立てて説明することができないのが口惜しいですが。

なんにせよ、張りやカチ上げなどの飛び道具を使わずに、今の幕内上位で突き押しの強豪から安定的に星を稼げているのは驚異的なことです。

私が鶴竜に長い力士生命を願う理由もここにあります。

33歳の円熟に到達し怪我も多い鶴竜ではありますが、いま最も洗練された突き押しの型を持っている貴景勝と、もう一幕二幕の角逐を演じてもらわなければ、困るのです。

六回目の幕内優勝おめでとう、鶴竜関。

千秋万歳。

コメント(0)

令和元年名古屋場所十四日目

今場所は鶴竜の優勝ですね

そう思います。

十四日目終了時点でリードしている鶴竜の優勝、というのはかなりオッズの低い優勝予想ですけど。

場所の後半へ来て、両腕で前褌を求める立ち合いが功を奏しています。

そこからまた差し手に捌き変えるのも以前から見せていた技術ではありますが、とにかく右四つでも左四つでも廻しを引いてからの、辛辣な、そしてワルツを踏むようなリズム感のある寄りは芸術的ですらあります。

かたや白鵬は。

琴奨菊と白鵬が両者とも左前褌を求める相撲でしたが、廻しに手がかかったのは琴奨菊の方でした。

白鵬の左腕が探った琴奨菊の前褌は、惜しいどころか手のひら一つ分彼方という感じ。

立ち合いの結果は両者の当たる角度なども絡んでいますので、単純に「白鵬が立ち負けた」ということではありません。けれど、機略にも迫力にも欠けるやや甘い立ち合いだった、ということは言えると思います。

白鵬の取り組み後、鶴竜は花道を下がりながら、むしろ表情を引き締めたような感じでした。

「今場所の賜杯はもらった。」と兜の緒を引き締めたのか?


天気と大関が冴えなかった今年の名古屋場所も残すは一日のみ。

でも、豊ノ島の久々の幕内勝ち越し、新三役の阿炎の勝ち越し、それの結果如何で新三役も見えてくる大栄翔の星勘定、そして優勝と三賞は?話題性が多く、現地観戦するファンも大満足な千秋楽となりそう。

コメント(0)

令和元年名古屋場所十三日目

愚公移山

矢後と大翔鵬の取り組み。矢後は両差し狙いでした。

矢後の両差し自体は珍しくないのですが、右、左と短くステップするようにやや左にずれて立ちました。

あれは、おそらく大翔鵬の左の上手(矢後から見て右側)を嫌ったものでしょう。

”ガバッ”と擬音するしかないような、左腕が大外回りする大翔鵬のあの上手です。

立ち合いであんなに深い位置の上手を求める力士は今、他にはいませんよね。親方衆やNHKの解説からは「もっと浅い位置の上手を」とか言われそうなものですが、力士によって力の出る上手の位置は違うらしいですからね。(確か故音羽山親方(元大関・貴ノ浪)がおっしゃってた。)

大翔鵬に対して矢後は喧嘩の左四つです。大翔鵬の左腕が大回りしてくることがあらかじめ分かっている矢後からしたら、確かに自身は右の上手を取りに行くより両差しを狙う方がスマートです。

なんにせよ、判で押したような大翔鵬の大きな取り口が矢後に不慣れな立ち合いを強いたわけで。

「愚公が山を移した」と言いたくなるような、そんな勝利でした。


そして友風ナイスだ。

一昨日友風の記事を書いておいてよかった。

コメント(0)