令和二年春場所初日
贅沢な茶の間桟敷の場所
歓声の無い今場所の土俵は稽古場を思わせるような一抹の味気なさを感じます。
一方で力士の呼気や、すり足が土俵の砂を払う音など、本来砂かぶり席でしか聞けないような土俵の細やかな声を茶の間桟敷から聞ける、贅沢な場所と言えなくもありません。
そして、初日の八角理事長の協会挨拶の辞もかなりの評判を得た様子。推敲をしたのは広報部長の芝田山親方でしょうけど。
古来から力士の四股は邪悪なものを土の下に押し込む力があると言われてきました。また横綱の土俵入りは五穀豊穣と世の中の平安を祈願するために行われてきました。力士の体は健康な体の象徴とも言われています。床山が髪を結い、呼び出しが柝を打ち、行司が土俵を裁き、そして力士が四股を踏む、この一連の所作が人々に感動を与えると同時に、大地を鎮め邪悪なものを抑えこむものだと信じられてきました。
令和二年春場所協会挨拶 八角親方 2020年3月8日
豪栄道が引退して、大関の番付から白鵬世代は完全に姿を消しました。
琴奨菊・勢の取り組みでは、左四つになったにもかかわらず勢の右上手を引かれて琴奨菊は足を止めてしまいました。舞の海さんがおっしゃっていたように、少し前の琴奨菊なら構わずガブっていたでしょう、よしんば土俵際に逆転を喰らうことになってたとしても。
平成の相撲の残像を幻視しながら静かな土俵を見守る春場所初日でした。