令和二年七月場所十三日目
あの男が帰ってきた
隠岐の海が三役で初めての勝ち越し。(正面解説の北の富士さん、嬉しそうだったな、、)
両横綱は残念ながらそろって休場の不面目を施しましたが、幕内下位の元大関陣も全員勝ち越して、なにやら時代を平成に揺り戻したかのような土俵が展開しています。
そしてシンボリックなのは、なんといっても結びの一番での照ノ富士の対朝乃山戦勝利。
両者上手を引いた立ち合いは互角と見ました。
ここから、照ノ富士は右の浅い差し手を保ちながら左の上手に重心を寄せる一方で、朝乃山は右半身をあおって深い下手を求めます。この時照ノ富士は上手側の左足を前にしており、朝乃山は差し手側の右足を前に出しているのがその証左。
この朝乃山の取り口には、「正面から胸を合わせれば、誰を相手にしても自分有利」という考えが伺い知れます。
朝乃山は自身の信じる取り口を貫き、照ノ富士は実践的なセオリー通りの相撲を取ったといえるでしょう。
ともあれ、朝乃山の上手は切れたために、上手を重視した照ノ富士に形勢は傾きました。
と、テクニック面のことを書いてもなにやらナンセンスな気がするな、、、
照ノ富士が破竹の勢いで番付を上げ、幕内初優勝と大関を獲ったころは、そりゃもう規格外の相撲と、インタビューでの無邪気な受け答えっぷりから、次世代の土俵風景の中心的存在になるものと信じて疑いませんでした。
果たして、照ノ富士を待っていた宿命は、常に賜杯争いの先頭に君臨する最強のヒールではなく、長い闘病と再出世でした。
今の照ノ富士はというと、無理な残し方はせず堅実でリアリスティックな取り口、インタビューでも”悪童”は影を潜め、りりしい求道者のようなオーラを放っています。
まだ28歳の彼に残された土俵人生の後先と今場所の賜杯争いに想像を巡らせながら、今日十四日目の相撲を待とうと思います。
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