月: 2021年3月
スケールの大きな小兵力士
なんですか、今日の照強の相撲は。
翔猿に対して左を差して上手を取りに行き、取れないとみるやその右の腕で大きく相手の背を包み込むようにしてすくい投げ。理合いとしては合掌捻りに近い。
剛力無双の若の里を彷彿とさせるような猛々しい相撲でした。
今関取衆の中で小兵力士に分類されるのは、照強、翠富士、琴恵光、石浦、炎鵬、宇良、松鳳山ということになるでしょう。
このうち主に差し手を活用する力士は翠富士、琴恵光、炎鵬、松鳳山でしょうか。
翠富士は肩透かしが代名詞、炎鵬は「捻り王子」の異名を持ちます。両者とも差し手を用いながら相手力士を手前に崩すタイプの力士と言えましょう。
琴恵光と松鳳山は、まったく対照的に相手と胸を合わせるタイプ。両方差せれば寄り、片方だけが差されば大型力士が相手でも腕力を利した突き落としや小手投げがあります。
それでは昨日の英乃海戦と今日の翔猿戦で大きな相撲を見せた照強は?
筋肉質で小力は強そうだけど、決して相撲全体が大振りなわけではありません。大きな力士に対してはしっかり頭を付けて食い下がって小さな相撲に徹したり、小煩く変化や足取りに行ったりもします。
彼が時折見せる大きな取り口は相手の体の大きさや相撲の流れを如何による相対的なものであると言えましょう。
やはり、スケールの大きな小兵力士といったら、琴恵光に止めを刺しますねぇ。
「阿武咲ブレイク」のフラグを回収せねば
今年の最初の記事で、「今年は輝と阿武咲がブレイクしないかな」と書いたままになっていたのを思い出しました。
そう書いた理由はあります。
隆の勝と並んで今幕内で押しから寄りへの美しい相撲を見せてくれている稀有な力士だからです。
先場所に続いて、今日の阿武咲も照ノ富士に完勝。
阿武咲の完成度の高い取り口を、向こう正面のカメラはきっちりと捉えてくれていました。
最初は深く差さないようにハズ押しに徹していた腕が、外四つの照ノ富士を土俵際まで追い込むやいなや、小指側が上を向いた状態でしっかり差さっています。いわゆる「腕を返す」という動き。
照ノ富士のような超大型力士を相手にしては、小さい相撲ではむしろ勝機が薄いでしょう。
今日の阿武咲のように丸くあたって、相手の懐で大きく開くような相撲でなければ。
これは何も対照ノ富士戦だけではありません。
貴景勝を除く大関陣の顔ぶれを頭に思い浮かべれば、今幕内上位でどのようなタイプの押し相撲が存在感を発揮できるかは、自ずと明らかです。
場所前の合同稽古では白鵬に指名されて30番の三番稽古を取ったそうな。その白鵬も休場か。本当に強かった白鵬世代の気風を後続世代に伝える力士の一人に、阿武咲もなってくれないとね。
今場所の天王山は
貴景勝・御嶽海の一番になる。そんな予感がしますね。
言い換えれば二人が今場所の優勝候補の筆頭ということ。
御嶽海はいつだったか腕裁きのスペシャリストと形容した記憶があります。
なんというか、両腕それぞれにプロセッサーが埋まっている感じ。左右の腕がバラバラに器用な動きをできる。
今場所は出足も素晴らしい。足にまでチップが埋まっているのか?
四肢が勝ち方を知っている、それが今場所の御嶽海です。
白鵬の優勝はおそらくないでしょう、少なくともまだ本調子の相撲が見られていない。
初日、二日目とも右を踏み込む立ち合いでしたからね。
初日は右で張って左四つに組みに行ったから自然だったけれども、今日は左で張って右を差しながら、差し手のほうの右を踏み込むというなんとも窮屈な立ち合い。
大丈夫か?白鵬。