令和元年夏場所十日目

熱戦の前に

珍しい光景が見られました。松鳳山と明生の立ち合いです。

突っかけるでもなく、両者立てずに機を窺うまま数秒間が経過しました。

それもそのはず。この両者は今幕内で最も「先に立ちたがる」力士二人ですからね。

両者は先場所で初顔合わせ。先場所の立ち合いもやや両者牽制する動きがありましたが、結局松鳳山が先手を取って右から張り、突き合う展開となって松鳳山が勝利しました。

今場所は、先の取り組みを意識して、駆け引きがより先鋭化したのか?

来場所以降もこのカードの立ち合いは要注目です。

大栄翔は立ち遅れたのか?

一方、大栄翔と琴奨菊の取り組みでは、大栄翔が大幅に立ち遅れました。

「立ち遅れたのかもしれないし、意識したのかもしれない。」と不知火親方(元若荒雄)

確かに、この立ち遅れによって結果的に大栄翔の諸筈がピッタリと嵌ったのです。

実は今の幕内土俵では(昔はどうだったか知らないけど)、突き押し力士の方が比較的遅れて立つ場合が多いのです。もちろん、その方が立ち合いで有効打が入る可能性が高いことを知って、意識してやっているのでしょう。

それでは、今日の大栄翔もわざと立ち遅れた?

何度か確認しましたが、いや、一瞬立とうとして立てず、結局立ち遅れた動きは、明らかにアクシデンタルなもの。 大栄翔もそこまで立ち合いで策を弄するタイプではありますまい。

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令和元年夏場所九日目

琴恵光の体は一体どうなっているんだ?

琴恵光177cm、138kg。

数年後に彼のかつての体重を振り返ることになるかもしれないし、書き留めておこうと思います。

今日は見ていて思わず声を上げてしまう相撲内容でした。

栃煌山の押っ付けをもろに喰らっているのに、そのまま前に出て押し出し。

荒磯親方も舌をまいた栃煌山の左の押っ付けですよ。しかも、押っ付けられている右の腕さながら左の腕も充てがわれて不自由な恰好。 北の富士さんや錣山親方さんが言っていたけど、琴恵光の「腕力が強さ」はこの一番を以って証明されました。

胸を出す「大きな」立ち合いをしていたこの小兵力士は、今場所張りを多用したり、ややずれて立ったり、諸手突きをしたり、いろいろと苦心、模索している様子。それが結果的に功を奏してか、ここまで7勝2敗。

さすがに今場所は幕内初めての給金直しとなりそうです。

それでもまだまだ琴恵光の相撲の前途はいばらの道でしょう。

そのための体重・身長の記録なのでした。

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令和元年夏場所中日と「貴乃花道場」会見

廻しマイスターの遠藤

遠藤が六日目に続いて二番目となる出し投げでの勝利。舞の海さんも解説していた通り、右の前褌の出し投げに加えて左から巻き落とすように捻っています。

遠藤は廻しを引き付けるだけでなく手前へ下へと縦横に使える数少ない力士。今や「捻り王子」の炎鵬や石浦らの力士も幕内にいるけれども、こちらには胸を合わせて引き付ける攻めはないですから、廻しを使った取り口の多彩さという意味では、やはり幕内随一は遠藤と言っても良いのではないでしょうか。(そういえば、廻しを切る技術も錣山親方に評価されていた。)

技ありの勝ち星を挙げた遠藤の貴重な笑顔をもう一度インタビューで見たかったけど、そうか、栃ノ心は今大関ではないからインタビュールームへは呼ばれないのだった、、、

貴乃花道場

さて、今日は一般社団法人「貴乃花道場」の設立に関する記者会見がありました。

実をいうと私、大相撲興行主体としての日本相撲協会を脅かそうという意図もあるのかしら、などと思っていたのです。 記者の質問でもやはり日本相撲協会との関係に水が向けられましたが、そんな下衆の勘ぐりは空転してくれたようです。

力士になっていく子が増えていくことは、私ども相撲をやってきた人間でもありますので、なによりも増やせることができたらなと思うのですが、力士にならなくても、異国のお子さんでも「昔相撲をしたことがあるんだよ」と、成長されたらそんな話が国際交流として出てくれたらなという思いでやっています。

力士になる子は相撲部屋に入門ということになりますので、私が小さいころにお教えしたとしても、自由に(相撲協会に)入って入門してくれればいいな、と思いますので。とにかく裾野を広げる活動を以前からやりたかったので、今回貴乃花道場を設立してここからまた新たなスタートをしていこうと思います。

相撲部屋で師匠をやっておりますとと、弟子を育てるということに専念しなければなりません。いまは全般的にいろんな方へ出向いて行ってお教えできると考えています。

貴乃花 社団法人「貴乃花道場」設立会見にて(2019年5月19日)

なるほど。確かに、日本の大相撲に限定されない広い意味での相撲、レスリング、力比べは世界普遍的に下地のあるものだし、多くの外国人観光客が大相撲に関心を持ってもらっている今、日本で培われた「相撲道」の文化発信は少なからぬ需要と社会的意義があると思います。また現状そうした国際交流事業は、必ずしも(大相撲を運営する)日本相撲協会や(アマチュア相撲を運営する)日本相撲連盟でカバーしきれていない。そして結果として「日本の大相撲力士が増えるのは何より」と言っているわけです。

論旨一貫、少なくとも事業内容に関しては日本相撲協会との”しこり”を勘ぐらせるような不審点は一つも見当たらなかった、というのが私の正直な感想です。


なんにせよ、やはり個人的な第一の関心は日本の大相撲興行への影響です。

「貴乃花道場」の活動が相撲協会にとってネガティブな影響をもたらすことはないでしょうが、海外から力士を志望する青少年がどっと日本へ渡って来るということも残念ながら当面は期待しづらいでしょう。出張ベースの普及活動で「相撲道」に触れるということと、相撲部屋の門を叩いて青少年の大事な時期を大相撲のキャリアに投じる、ということには大きな懸隔がありますから。

すでに相撲が根付いており、相撲部屋との具体的なコネクションのある日本各地での普及活動を除けば、海外事業は当面あくまでも国際交流目的というものに留まるのではないでしょうか。

ともあれ、青少年の相撲へのチャネルが広がる、ということは間違いなく喜ばしいことであります。

貴乃花さんが日本の大相撲の世界へ戻って来ることがまずあり得なくなったのは残念ですが、 「貴乃花道場」が 10、20年というスパンで世界の相撲と日本の大相撲にどのような変化をもたらすのか、大相撲ファンとしてしばらく思いと夢を巡らせたい、そう感じた会見内容でした。

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