タグ: 琴奨菊
琴奨菊幕内通算713勝
昨日、通算712勝の日馬富士を抜き歴代単独7位の幕内勝ち星を積み上げました。
琴奨菊といえば、大関に上がるまでは左四つのガブリ寄り、右四つ左前褌の超速の攻めで大関獲り、体幹トレーニングに支えられた突き落としで初優勝と、取り口を一つ一つ増やしながら出世と栄光を掴んできた力士です。
今の琴奨菊はというと。
上で書いた取り口のいずれも見せることもありますが、それと同時に感じるのが、今琴奨菊はキャリアの中で一番脇の甘い相撲を取っているのではないか、ということ。
外四つでもガブっていくこともありますし、押っ付けや肩透かしから差し返しに行くこともあります。「幅広の肩と厚い胸板を利して相手を正面にとらえて寄る」という琴奨菊の相撲の本質だけが残り、それに付属するテクニックや戦術が、相手力士などに合わせて自在に選択されている、というのが今の琴奨菊です。
「名人に定石なし」
もはやそのような境地に達したかと思われる琴奨菊は、今日勝てば宿年の好敵手だった稀勢の里の幕内通算勝ち星に並びます。
阿炎の外食休場に関して、錣山親方のつらさ・心苦しさ如何ばかりかと察しますが、これだけ阿炎の不祥事が重なるのを見ると、錣山部屋のマネジメントも問われざるを得ないと思います。
今の錣山部屋で阿炎に掣肘を加えられる人物は錣山や立田川ら親方衆だけだと思うのですが、「自業自得」という錣山親方の発言にはどこか「すべて阿炎本人の責任」というニュアンスが感じられたので、、、
贅沢な茶の間桟敷の場所
歓声の無い今場所の土俵は稽古場を思わせるような一抹の味気なさを感じます。
一方で力士の呼気や、すり足が土俵の砂を払う音など、本来砂かぶり席でしか聞けないような土俵の細やかな声を茶の間桟敷から聞ける、贅沢な場所と言えなくもありません。
そして、初日の八角理事長の協会挨拶の辞もかなりの評判を得た様子。推敲をしたのは広報部長の芝田山親方でしょうけど。
古来から力士の四股は邪悪なものを土の下に押し込む力があると言われてきました。また横綱の土俵入りは五穀豊穣と世の中の平安を祈願するために行われてきました。力士の体は健康な体の象徴とも言われています。床山が髪を結い、呼び出しが柝を打ち、行司が土俵を裁き、そして力士が四股を踏む、この一連の所作が人々に感動を与えると同時に、大地を鎮め邪悪なものを抑えこむものだと信じられてきました。
令和二年春場所協会挨拶 八角親方 2020年3月8日
豪栄道が引退して、大関の番付から白鵬世代は完全に姿を消しました。
琴奨菊・勢の取り組みでは、左四つになったにもかかわらず勢の右上手を引かれて琴奨菊は足を止めてしまいました。舞の海さんがおっしゃっていたように、少し前の琴奨菊なら構わずガブっていたでしょう、よしんば土俵際に逆転を喰らうことになってたとしても。
平成の相撲の残像を幻視しながら静かな土俵を見守る春場所初日でした。
豊ノ島が幕内最年長とは
嘉風の引退によって関取最年長は36歳の豊ノ島だそうで。
関取に復帰してからまだ幕内の勝ち越しがなく、毎日祈るような思いで彼の相撲を観ています。
今日は若侍・貴源治に敗れてしまいましたが、見どころは作りました。
左腹をぶつけながら上手を切る動き、太鼓腹を前に突き出すような寄り、そして土俵際での掬い投げ。結局は貴源治のスケールに屈する恰好になり、善戦っぷりと負けっぷりに一抹の哀愁すら感じてしまいました。
「(引退した)嘉風のような力士になりたい」という友風の談話が紹介されていましたが、この師弟と同様、豊ノ島の相撲の系譜も正代に引き継がれていかれれば、と思っています。
四日目の正面解説・尾車親方は両差しからの一気の出足で志摩ノ海を寄り切った正代の相撲に惚れ切って「次の大関」とまで呟いていらっしゃった。
もう年齢的に大関へのチャンスは限定的だと思うのですが、北の富士さんに加えて正代に期待を掛ける親方がもう一人いたとは、、、
そして、もう松鳳山や琴奨菊も豊ノ島に次ぐ年長力士なのですね。
白鵬不敗神話を生きた世代の彼らにはもう一度二度花を咲かせてほしいのだけどな、、、