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令和三年夏場所十三日目

遠藤は勝った、そして微笑んだ

土俵際、照ノ富士と一緒に落ちた後にすぐに行司に目線を送ったり、審判の協議結果アナウンスの後、笑みをこぼしたり、土俵の表情、振る舞いに普段より少しだけ多めの情動が見え隠れした気がします。

インタビュールームでは相変わらず、

「今日も一日終わったな」

「ああ、良かった良かった。それだけです。」

「まだぴんと来ないですけど。」

「引き続き集中してやるだけです。」・・・

と、淡白な談話が目立ちました。

感情をあまり露わにしない言動や所作、でも少し影のある眉目秀麗・遠藤ならば、それらの一つ一つを散文化するだけで印象的な観戦記事になりそうだから不思議だ。

荒磯親方が「完璧な相撲」と激賞した遠藤の両差し。今場所は宝富士と栃ノ心に対しても両差しで完勝しています。

両差しになっても、ただ安直に寄っているわけではない。どちらかだけを深く差して、相手に密着させるのは右か左かどちらかの胸に寄せています。

これは秀ノ山親方(元琴奨菊)が解説していたガブリ寄りの理合いにも通じるところがあるか?

なんにせよ、照ノ富士相手だとたとえ両差しでも相手に正対して胸を合わせてしまっては攻めが止まってしまうでしょう。

184cm,150kgの決して大型とは言えない遠藤の寄り身が完成して、来場所は照ノ富士と白鵬との取り組みに掛かる期待も大きいですね。

好勝負になれば、平成に置き去りにしてきた土俵風景のリバイバルだ。その取り組みにはまた荒磯親方を解説席に招いてほしいな。

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令和三年春場所千秋楽

照ノ富士大関昇進内定

当然の結果か。

大関どころか、今一番次の綱に近い存在なのですから。

そういえば、先の元号での髙安との出世争いなんて書いたけれども、平成から繰り越しているもう一つの物語がありましたよね。

白鵬との世代交代です。

かつてのブログを読み返していたら、2015年の九州場所では両者がっぷり右四つで組み合って、大相撲になり、最後は白鵬が力なく寄り切られた相撲があったことを思い出しました。

その年は破竹の勢いで照ノ富士が出世していたけれども、この相撲は楽日だったし、白鵬も体力を使い果たしていたという感じで、これで勝負づけが済んだという印象は全く受けませんでした。

当時は白鵬に加えて日馬富士と鶴竜が健在で、まだ稀勢の里は大関。

その稀勢の里が初優勝で綱取りに成功して番付に四横綱が揃った2017年の春場所、照ノ富士は十四日目に変化で琴奨菊を破ってヒールに担がされ、楽日に本割と決定戦で二連敗して稀勢の里に賜杯を譲ってしまうという悲劇を演じました。

しかし、照ノ富士の本当の悪夢は、その後の糖尿病と膝のケガとの闘いでした、、、

今横綱の番付には白鵬がただ一人。

次に両者しっかり胸を合わせる大相撲は、先輩横綱に、というより白鵬世代に恩を返す一番となるでしょう。

大関と横綱の割だから、場所の終盤戦になるわけだ。体力面に不安のある白鵬だけど、充実の相撲を見せてほしい。後の語り草となる一番になるように。白鵬はやはり強かったと証明するような、そしてまだ29歳の照ノ富士に残された土俵人生の華やかさを約束するような、そんな一番に。

千穐万歳。

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令和三年春場所十二日目

ベテラン力士二人

髙安と照ノ富士が今場所の優勝争いの焦点になりそうですね。

入幕も大関昇進のタイミングも違えど、一つ前の元号で出世を競い、雌伏を経て、この二人のベテラン力士が今再び幕内の風景の中心にいます。

長い長いキャリアを物語るかのように、今の二人は辛抱強い”大相撲”を展開できる力士です。

七日目の髙安の宝富士戦もさることながら、今日の照ノ富士戦も刮目させられるものでした。

玉鷲の激しい突きをかいくぐりながら左の下手を引きましたが、土俵際の玉鷲の小手投げを食わないように一旦離して突きの間合いに戻りました。その後も玉鷲ののど輪攻めに対して安易に引かず、飽くまで体を正対させながら充てがい、突き落としで勝負を決めました。

玉鷲の根負けです。

勝ちを近づけるより、負けを遠ざける相撲、二人の取り口にそれを感じます。

それにつけても、その照ノ富士を根負けさせた志摩ノ海の一昨日の相撲には驚きました。

大型力士が大関の番付に三枚並んでいる今の土俵では、なまじ小さい相撲よりも阿武咲や隆の勝のように小さく当たってから胸を合わせて大きく開く相撲の方が、なんて書いたけれども。

執拗に頭を付けて筈押と押し付けで食い下がる志摩ノ海の勝ち方は、そんな私の記事に対するアンチテーゼだったな、、、

明生も入幕当時の両差しよりも右の前褌の方が目を引く取り口になってきたし。

いったいどの取り口が今の大関陣に大きな風穴を開けてくれるのだろう。その候補と可能性は多ければ多いに越したこはない。

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